浦和サポーターのブーイングが意味するものとは
話を埼玉に戻そう。
浦和は開幕戦で湘南に3-1の逆転勝ちを収めた。しかし、前述したブリスベン戦の観客数(13527人)は、東京V対C大阪戦と比べても特別多いというわけではない。松本ファンよりも伝統的で地元チームとの絆を誇るサポーターとクラブとの間にある隔たりの意識は大きくなっている。
自力優勝の可能性があったにもかかわらずタイトル獲得に失敗したことや、昨年の“ジャパニーズ・オンリー問題”でクラブが不十分な説明のままサポータークラブの存在を禁止したことなど、浦和レッズは豊富な予算やファン組織を持つクラブとしては成功を収められていない。
首尾一貫した計画の欠如は優勝争いに不安定さをもたらし、哲学を変えようとせず頑なに自らの戦術を押し通したミハイロ・ペトロビッチは、選手を守るため矢面に立たざるを得なくなった。「私はこのチームの責任者であり、ブーイングされるなら私」とブリスベン戦後に語っている。
サポーターが応援するクラブに対してブーイングすることを正当化するかどうかの議論はあった。柏木陽介は浦和サポーターの意思表示に対して「一緒に戦う気になれない」とショックを露わにしている。
彼の言葉は核心をついているかもしれない。応援するチームの選手にやじをとばすことは逆効果を招くようにも見える。しかしながら、松本や東京Vが示したことは、ピッチとスタンドの繋がりを深めるための手がかりになる。
彼らがブーイングしたことは正しかったとは思わないが、私には彼らの気持ちが痛いほどよくわかる。
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