“狂気の強奪”を繰り広げた根底にある恐怖心
そのような相手に反撃の隙すら与えようとしないバイエルンの“強奪”は、1人少ない相手に7ゴールを挙げたことに加えて、無慈悲どころか狂気ですらあった。ルチェスクは「大敗してしまったことが悲しい」と言葉を残している。
ボアテングは「何としてもベルリンに行きたい」と言う。それはそのままCLの決勝が行なわれる舞台に立ちたい、という気持ちの現れではあるが、少なからず「何としても準決勝を突破したい」という思いもあるだろう。
ボアテングのみならずバイエルンの中には、やはり昨季の準決勝でマドリーのカウンターの前に、特にホームでの2ndレグでは0-4と無残に散った悪夢が脳裏に刻み込まれているのだろう。
そしてその恐怖は、ブンデスリーガの後期開幕戦で、ボルフスブルクに1-4のスコアで、カウンターという同様の形で敗れたことでも倍加しているのではないか。
バイエルンがシャフタール戦で、相対的弱者を相手に見せた“狂気の強奪”は、カウンターの恐怖を払拭しようとする過度な反応とも言えるし、「何としてもベルリンに行きたい」という純粋な勝利への渇望とも言える。
今シーズン終了後、果たしてペップは「CLを完全に支配していた」と振り返るだろうか。
シャフタールを2戦合計7-0で下したペップ・バイエルンは、また一歩ベルリンに近づいた。
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