不屈の智将ハリルホジッチが植え付けたフルタイムの集中力
リールの素晴らしかったのは、ここからも気を緩めることなく全員のハードワークでパルマの攻撃を封じ、中田のマークも外さなかったことだ。中田も持ち前のボディバランスとキープ力で何度かチャンスに持ち込もうとするが、ダミーコに加えて2人、3人と囲んでくる相手を振り切ることができなかった。強力2トップに対しても、後にアーセナル移籍を果たす巨漢DFシガンが立ちはだかった。
終盤の80分にはジェトゥのファウルで得たFKから、シェイルーがちょこんと叩いたボールを、エッケルが左足の強烈なシュートでゴールネットに突き刺した。敵地で2得点を奪う形でジャイアントキリングを果たしたリールは、ホームの第2レグでも堅守を維持してパルマの反撃をFKからの1点におさえ、チャンピオンズリーグの本大会への出場を決めた。
本大会ではプレミア王者のマンチェスター・ユナイテッド、スペインの強豪デポルティーボ・ラ・コルーニャ、ギリシャの名門オリンピアコスを相手に奮闘し、惜しくも3位で1次リーグ敗退となったものの、ホームではマンチェスター・ユナイテッドと1-1で引き分け、敗れた試合も全て1点差という、リールの戦力を考えれば見事なパフォーマンスだった。
多彩な戦術と采配でチームを操るハリルホジッチだが、彼の最大の強みはどんな相手にも勝利を目指してベストを尽くす、不屈のスピリットにあるのではないか。ハリルホジッチという情熱的な指揮官が日本代表を強くするだけでなく、日本サッカーに大きな刺激を与えてくれる気がしてならない。
【了】