1stレグとは別人の姿を見せたシャルケ
その攻撃的な姿勢は、守備面にも現れていた。ワンボランチのクロースにはチュポ・モティングが、右SBのアルベロアにはマイヤー、ひいてはフクスがプレスを仕掛けていくなど、シャルケは高い位置から積極的にボールを奪おうとする。
深く構えて、5-3-2の5と3の間で奪おうとしていた1stレグとは対照的だった。もっとも、5-3-2を全く放棄してしまった訳ではない。ときに両ウイングバックはDFラインに吸収されることもある。端的に言えば、両ウイングバック、特に左のフクスの上下動の幅が広がった。
そしてマイヤーを中心としてカウンターを仕掛ける。9分、ヘーガーが散らして左サイドを上がったマイヤーの折り返しを、チュポ・モティングがシュートを放つ。11分には、マイヤーの自陣エリア前でのボールキープから、右のヘーガーへと繋ぐ。最後は相手エリア内でのチュポ・モティングの落としから、ヘーガーのシュートまで持っていった。
19分、マイヤーが右サイドを上がったバルネッタへ。バルネッタの折り返しを、逆サイドでフリーとなったフクスがきっちりと決める。シャルケが先制に成功する。1stレグとは別人のような姿を見せたシャルケに、マドリーは面食らったかもしれない。シャルケがホッフェハイムに快勝した7日、ビルバオに敗れてバルセロナに首位を明け渡した屈辱を引きずるかのように、マドリーは動きが悪かった。開始直後から続いたシャルケの奇襲は、見事に実を結んだ。
しかし、またもロナウドだった。24分、右のCKから、一瞬のバックステップでマーカーのマティプを外すと、ヘッドで同点弾を突き刺す。1-1。シャルケが慎重に事を進め、試合運びが順調に進んでいる中でのあっさりとした得点は、1stレグの先制弾と変わらなかった。
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