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ジュニサカ 10年前

日本サッカーの短所である守備戦術。小学生年代からどう指導する?

text by 木之下潤 photo by Getty Images , junior soccer editorial staff

日本人が戦術を学ぶにはフットサルが適している

――この練習は、3・4年生の選手に対して行っているのだそうです。以前、中野さんにこのトレーニングを聞いたときにいいアイデアだなと感じました。それは、「日本ではジュニア世代でまだ早い」とされているチーム戦術という概念を自然に学べるトレーニングだと思ったからです。

中野 守備戦術という観点では、「守備の際、ボールサイドに少しずつポジションをスライドしなさい」とアドバイスをするだけで、一人ひとりが動いたその延長上にチーム全体の守備組織が整うことにつながっています。結果、これがチームとしての守備戦術です。

 ドイツでは、10歳前後から戦術的な目も同時に養っているからジュニア世代で身につけている技術が試合の中で生かされているのではないかと感じるのです。個人とチームを切り離さずにサッカーをさせる指導が、最近の結果に現れているのだと思います。

村松 現状で感じるのは、もしかしたら日本の小学生にはまだ8人制すら早いかもしれないということです。フットサルぐらいの人数の方がわかりやすく、個人とチームを切り離さずに考えられるのではないでしょうか。

 たとえば、守備戦術に目を向けて言えば、小学生よりも幼稚園生の方がボールとゴールを結んだ直線上にポジションをとっているのです。ゴールをつけて、2対2や3対3のゲームをやると、GKがいないからボールを持っている攻撃側の選手は自然にシュートを意識します。

 すると、守備側の選手も知ってか知らずか、ボールとゴールを結んだ直線上にポジションをとるのです。実感として「やられたくない」という気持ちが沸くのでしょう。でも、これが基本です。11人制になっても、ボールとゴールを結んだ直線上にポジションをとりつつ、自分たちが考えている方向へボールを押し出してボールを奪うわけですから。

 でも、年齢が上がるにつれて「ボールとゴールを結んだ直線上にポジションをとる」ことを忘れるんですよね。

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