世代交代を進める日本に適任か
試合ごとに対戦相手に関する膨大な数の資料に目を通し、その時点で手元にある戦力を使って、いかに相手を苦しめるプレーをするか綿密に作戦を立てる、それがハリルホジッチのやり方だ。
基本フォーメーションはある程度決まっていても、対戦相手や自陣の状況によって、その都度ストラテジーは変化する。つまり、ハリルホジッチのチームについて行くには、順応性も求められる。
と同時に、そのとき最善だと思える選手をピッチに送り出すため、ときには、選手側にとっては非情とも思える人選を受け入れなくてはならないこともある。
しかしハリルホジッチにとっては「勝利を追求すること」こそが最優先事項であり、そこに情が介入する余地はないのだ。
昨年のW杯では、それまで長年チームの支柱だったキャプテンのブーゲラをグループリーグ3戦目のロシア戦で外した。このとき指揮官は「ラウンド16に勝ち進んだらお前の力が必要になる。だからロシア戦では温存する」とブーゲラに伝えた。
しかし、ロシア戦で先発したベルカレム(トラブゾンスポール)が予想以上に良い出来だったため、次のドイツ戦でも引き続き彼を起用する決断を下した。
そのときはショックを受けたブーゲラだったが、「アルジェリア代表の将来を考えれば、自分が居座るよりも後進にチャンスを」と引き際を知り、今年のアフリカ大陸選手権を最後に代表を引退した。
世代交代の時期が近づいている日本代表にとっても、ハリルホジッチ氏は、適任だといえそうだ。
一見強面だが、内面は心優しく、家族の話になるとテレビカメラの前でも大泣きするような情緒豊かな面も持ち合わせる。しかし、日本人が得意な「空気を読んで」「場を察して」は彼には通じない。
いろいろな意味で新風を吹き込んでくれそうなハリルホジッチ監督のもと、日本代表がどのような成長を遂げるのか、今から楽しみだ。
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