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日本代表 10年前

勝利のためには非情采配も――。フランス在住記者が迫る、次期代表監督ハリルホジッチの知られざる人物像

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

水タバコを吸った選手を追放

勝利のためには時に非常采配も――。フランス在住記者が迫る、次期代表監督ハリルホジッチの知られざる人物像
アブデルムメネ・ジャブー【写真:Getty Images】

 アルジェリア代表の攻撃的MFアブデルムメネ・ジャブーは、チームでは交代要員だったが、ある時ハリルホジッチ監督が自分を「彼は10分間だけの選手」と評しているのを聞き、ショックを受けた。

 しかしここでジャブーは「ピッチの上で自分の真価を見せて、監督を納得させてみせる」と奮起した。その結果、監督自ら「自分の見立てが間違っていた」と謝罪にきたという。冒頭のドイツ戦、121分に根性の1点をあげたのは、このジャブーだ。

 そして、規律を重んじること。同じアルジェリア代表では、代表合宿中の宿舎でシシャ(水タバコ)を嗜んでいたのが見つかって、グループから追放された選手もいる。現在リーグアンのバスティアに所属するMFブードゥブーズだ。

「シシャはタバコの15倍も体に悪い!」

 ハリルロジッチ監督は憤り、数試合の間、謹慎処分にした。

 その後ふたたびチャンスを与えたが、彼が不在の間にブライミ(FCポルト)やマレーズ(レスターシティ)が躍進したこともあり、ブードゥブーズはその後代表から遠ざかっている。

 彼には、シシャ事件の前にも、クラブでは試合に出ていたにもかかわらず、怪我だと申告して、代表招集を辞退したことがあった。ハリルホジッチ監督の脳裏にはこのときの不誠実な行為も刻まれていたのだろう。

 背信行為と規律違反、ハリルホジッチがもっとも嫌う2大行為を犯しては、彼のチームから追われても仕方ない。しかし、常にポリシーや方針が明確である彼のようなリーダーには、非常について行きやすいとスタッフたちは口を揃える。

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