フランスサッカー界では馴染みの深い御仁
昨夏のW杯ブラジル大会、優勝者となったドイツにフルタイムの90分までに1点も入れさせなかった対戦国が準優勝のアルゼンチンに加えて、もうひとつだけある。
アルジェリアだ。
8強入りをかけたラウンド16、自国のサッカー史上初めてグループリーグ突破を果たした北アフリカの挑戦者は、延長戦で2点を入れられた後も、ロスタイムに1点を返す渾身のプレーで、観る者の心を熱くした。
そして、若手選手が中心で発展途上にあったそのチームを率いていたのが、次期日本代表監督に内定したと発表された、ヴァヒド・ハリルホジッチ氏だ。
ボスニア・ヘルツェゴビナの出身だが、1995年に帰化申請してフランス国籍も持つ。ストライカーだった現役時代はナントに所属して2度のリーグ得点王。指導者になってからも、リールやパリ・サンジェルマンにトロフィをもたらすなど、フランスサッカー界では馴染みの深い御仁だ。
指導者としてのハリルホジッチ氏の印象を、彼の腹心だったスタッフ何人かに尋ねたところ、判で押したように同じ答えが返ってきた。
「厳格で、要求が厳しく、非常に計画的。練習メニューも試合での戦術も、細部にいたるまで計算され尽くされている。彼のやることに偶然はひとつもない」
それがハリルホジッチ氏の指導法であるらしい。
アルジェリア時代に出演したテレビ番組のインタビューで本人も認めている。
「わたしは平和主義者で理想主義者だが、同時に完璧主義者でもある。物事を中途半端にやることはわたしにはありえない。そして、常に『勝利』を追求する。スポーツにおいて、わたしが関心があるのは『勝つこと』。ただそれだけだ」