主力が抜けた左SBは心配なポジション
前線の熟成以上に最重要課題となるのが守備面だ。昨季はワースト2位タイの60失点を喫しており、ここを立て直さない限り今季も厳しい戦いが予想される。
守護神としてシーズンを通してプレーした櫛引政敏は、素晴らしいセーブでチームを救う活躍を見せる一方で、安定性を欠くこともあった。クラブだけでなく日本の将来を担うことが期待される選手だけに、今季はより高いパフォーマンスが求められる。新たに川崎フロンターレから杉山力裕を獲得しており、激しいポジション争いの中で互いに成長していけるか。
昨季の左サイドバックを務めた吉田豊がサガン鳥栖へ移籍し、イ・キジェも退団した。しかし、新たな左SBの獲得はなく、レンタルバックの内田健太に留まっている。
それでもセンターバックと右SBは昨季からの継続となる。特に右SBの河井陽介は優れた戦術理解力を持っており、守備でも賢いポジション取りを見せ、攻撃ではセンスを発揮し味方を後押ししている。
もちろん、失点減には守備陣の奮闘だけでは成り立たない。チーム全体がしっかりハードワークしなければならないだろう。その意味でも、プレシーズンのうちにどれだけフィジカル面でのベースアップができるかが重要だ。
優勝争いは壮大な目標と言わざるを得ない。だが若い選手も多く、昨年の悔しさを払拭しようと努力を続ければ、飛躍のきっかけは掴めるはずだ。今季、清水はサッカー王国としての意地を見せなければならない。
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