日本に足りないのは「決定力」ではなく「守備の個人・組織戦術」
決して強くはないUAEを相手に1-1のまま延長戦にまでもつれ込み、最後はPK戦で敗戦。日本国内では「決定力不足」が厳しく問われているという。確かに、プロは結果がすべてです。実際にあのUAEを相手に35本ものシュートを放ちながらわずか「1」得点に終わったわけですから、決定力の不足を指摘する声があること自体は自然なことでしょうし、決してそうした論調をすべて否定するものではありません。
とはいえ、試合を詳細に分析した私たちの見解は明らかに異なります。
結論から申せば、この試合の日本は実質「6-1」で勝つに値したと言えます。UAE戦で日本が作った攻撃の形(組み立て)と決定機の質が極めて高かったからです。
「決定力不足」で片づけてしまうのは簡単ですが、ゴール前には常に敵の守備陣とGKがいることを忘れてはなりません。あれだけ極端に守備一辺倒の姿勢で臨んでくる敵を前にすれば、たとえレアル・マドリーやバイエルン・ミュンヘンであろうとも、苦戦を強いられ、得点「0」のまま終了の笛を聞くことも決して珍しくはありません。丸い形をしたボールがあっさりとゴールに入る時もあれば、そうではない時もある。否、むしろそうではない時の方が圧倒的に多いのです。
それがサッカーという競技の難しさであり、本質であるとすれば、今回の日本対UAEはまさにその典型とも言うべき試合であったとする解釈も成り立つはずです。
その上で、改めて繰り返せば、この日の日本は確かに得点「1」に終わったとはいえ、実に素晴らしい攻撃の形を見せたと明言できるはずです。
そもそも、あの柴崎岳の同点弾と、そこへ至る一連の過程に見るクオリティは、もしもサッカーに“芸術点”があれば文句なく最高点を記録する水準にあったと言えるでしょう。
左サイドで長友がボールを持った場面から数えて、柴崎の右足が捉えたボールが美しい軌道を描きながらネットを揺らすまでの約8秒間には、まさに見事と言う以外にない技術が凝縮されています。