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香川真司 10年前

「よりクレバーにシンプルに」。余裕を感じたクロップの言葉。香川は低調も、地力を示したドルトムント

text by 本田千尋

沈黙破ったインモービレ「大事なことは、勝ったこと」

 特にロイスを失って、上手く攻撃の形を作ることが出来なくなってしまう。30分頃には、ドレスデンにちょっとした波状攻撃を許す。ドルトムントの地力が問われる展開となった。

 その沈滞したムードを吹き飛ばしたのは、インモービレである。

 49分、ドレスデンのDFラインに対して、エルドマンにインモービレ、ミュラーに香川、ヘフェレにブワシュチコフスキとプレスを仕掛けていく。そしてヘフェレがエルドマンに送ったボールを、インモービレがかっさらった。ゴールに叩き込む。1-0。

 インモービレは試合後に次のように振り返っている。

「簡単な試合ではなかったよ。敵が守備面を強化してプレーし、コンパクトに構えたら、どんなチームにとっても難しいものだ。大事なことは、勝ったことと、ベルリンに向かってさらに一歩を踏んだことだよ」

 連戦が続いていたこともあってか、1-0からドルトムントはあまり無理をしなかった。66分には香川はラモスと代わっている。ドレスデンを相手に香川は、あまり目立つところはなかった。

 76分には、カウンターから左サイドをインモービレが突破し、折り返しをラモスがGKヴィーガーズを交わしてシュートまで持ち込む。ラモスの姿は、余裕を感じさせるものだった。

 終了間際の89分、ショートカウンターから、ブワシュチコフスキが右サイドを突破する。折り返しを、再びインモービレが決める。2-0。ドルトムントがベスト8に進出する。

 勝利の後でクロップは「満足している」と言う。そして「この試合は我々にとって特徴のテストだった。よりクレバーにシンプルにプレーすることが出来るかを、少し試みたんだ」と続けている。

 監督クロップのどこか余裕を感じさせる言葉は、ドルトムントの地力の現れとも言えるのかもしれない。

【了】

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