昨季は守備が崩壊。角田の加入でバランスを保てるか
攻撃力ばかりが目立った昨季、守備面は34試合で43失点を喫するなど課題の多く残る1年だった。
10月以降の5敗のうち、4敗は複数失点での敗戦だった。終盤に限らず1年を通して不安定だったが、原因はジェシや井川、といった本来主力として守備を統率しなければならないベテランたちが相次いで離脱してしまったところにある。
ルーキーだった谷口彰吾がCBとして守備陣の軸に成長し、リーグ終盤には特別指定選手としてプレーしていた車屋紳太郎が即戦力として計算できることを示せていたのは大きい。
先月21日の新潟との練習試合では、井川と下部組織から昇格した板倉滉がCBでコンビを組んだ1本目に5失点を許した。2本目は無失点に抑えたが、相変わらず不安の残る内容だったことに違いはない。
一方で谷口と車屋が出場した3本目と4本目は1失点だった。相手とのかみ合わせもあるが、彼らの成長は川崎Fの攻守のバランスを整える上で大きな役割を果たすだろう。
そしてもう1人、今季の川崎Fには守備のキーマンとなれる人物が加入した。ベガルタ仙台から移籍してきた角田誠だ。
ボランチとCBに対応できる角田だが、川崎FではCBとして勝負するようで、最終ラインから持ち味でもある的確なコーチングが絶え間なく飛んでいる。
新潟戦の3、4本目に限らず、角田が出場すれば確実に守備の安定感が飛躍的に向上する。
悲願のタイトル獲得にはゴールだけでなく、相手の攻撃を跳ね返す強固な守備も必要だ。角田という存在が、川崎Fに攻守のバランスと年間を通した安定をもたらす最強のピースになるかもしれない。
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