「半分守備練習みたいな感じだったからね」
また、この試合での香川は、味方のためにスペースを作る動きも目立った。
21分、CBナスタシッチを釣って、キルヒからムヒタリヤンへのパスを誘う。
25分、CBヘーヴェデス、ボランチのヘーガーを少し食い付かせて、その後ろのスペースへロイスが走る。ロイスはノイシュテッターを交わす。折り返しをオーバメヤンが詰める。しかし、ナスタシッチの足に当ててしまう。
香川は「上手くマルコ(・ロイス)とかと連係して、動きを見ながら、お互いやれていたと思います」と振り返る。
35分、香川からロイスへスルーパス。鋭いドリブルからロイスはシュートを放つ。わずかに左に逸れる。
ユベントス・スタジアムの異様な雰囲気の後では、心強いホームの空気は頼もしく感じられたところもあったかもしれない。フンメルスとスボティッチの両CBは、失点を続けたこれまでとは見違えるように安定した。2列目からパスを出されても、FWフンテラール、チュポ・モティングにしっかりと対処し続ける。隙を与えない。
DFラインは安定し、サヒン、ギュンドアンを軸にパスは回り、ドルトムントは、香川、ロイスを中心としてシャルケをズタズタにした。
内田が「途中から、半分守備練習みたいな感じだったからね」と言うシャルケが、無傷のままでいることの出来た理由は分からない。「前半、0-0で本当にラッキーだった」と内田が振り返るように、それは運としか言いようが無かった。
後半に入る。ドルトムントはシャルケを嬲り続ける。
51分、スボティッチからロイスに縦パスが入る。香川、オーバメヤンが瞬時に動き出す。ロイスがシュートを放つ。少し左に逸れる。「本当に今日はみんな集中して、連動して、相手よりも一歩早く動けていた」と香川が言う。
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