混迷を招いた代理人の存在
次期日本代表監督の選定・交渉も大詰めを迎えつつあるが、この間の「情報戦」のすさまじさ、正確にいえば「数打ちゃ当たる」式の報道はあまりにお粗末だ。
スポーツ紙にこの種の分野で憶測記事が出るのは珍しくはないが、今回の騒ぎは(アギーレ前監督が八百長問題で契約解除という異常事態だったためもあるが)ちょっと常軌を逸している。
まず、アギーレ前監督を契約解除した直後に「自分は日本側から打診されたが、断った」と報道された監督が続出した。これは日本サッカー協会(JFA)とは無関係に、ヨーロッパの代理人(選手や監督に代わって交渉ごとを引き受ける職業)たちが「関心があるなら仲介する」と手当たり次第に電話をかけまくったのが原因だ。
中には「JFAの正式の委任状を持っている」と大嘘をついて、はったりをかました代理人もいるという。また、どこかの新聞社が代理人の名をかたって大物監督に接触する「おとり取材」も混じっていた可能性もある。
選手の場合は、毎年1月と8月が移籍期間に設定されている。監督の人事は時期的な制限はないが、通常は選手に準じたタイミングでシーズンオフをにらんで交渉がはじまる。しかし、今回はアギーレ監督の契約解除が突然発表されたため、ドタバタが拡大した。
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