ハリルホジッチの気質
スカンジナビア半島出身のラウドルップが常に冷静で自制心がある印象を与える一方で、ハリルホジッチがワールドカップ出場に至るまでの道のりを広範囲に渡って取材した南アフリカ人のジャーナリスト、マーク・グリーソン氏はこのボスニア人を「非常に気質の荒い性格でタッチライン際で怒りを爆発させることがよくある」と述べている。
メディアとの関係も楽観視できるものではない。彼は無断で記者会見を欠席することが多く、好まない質問に対しては厳しく返答する。アリジェリア人ジャーナリストからある選手をメンバーから外したことについて聞かれた際、「なぜそんなことを聞く? 彼のいとこか?」とシニカルな返答を見せたこともあった。
機嫌が良い日のハリルホジッチはメディアとかなり長い時間を共に過ごす。2011年には何人かのジャーナリストを部屋に呼び、プロジェクターを使って「前回の試合で我々が通したパスは辛うじて200本にいくかどうかだったが、バルセロナでは大抵700本は通す」などとアルジェリア代表のフットボールについての講義を行うこともあった。
ハリルホジッチがワールドカップで披露したフットボールは確かに印象的な結果を残し、「元ストライカーとして私は攻撃的な哲学に興味がある」との発言もしている。敵陣でのボール奪取を目指す彼の4-3-3は、かなり高い位置でのプレッシングを必要とし、4-2で韓国を破った時のような攻撃への素早い切り替えが真骨頂だ。
この4-3-3は日本人にとって新しいアプローチになるが、新たな変革が必要な日本代表にとってはポジティブな要素になりえる。
しかし、戦術的な進歩を望む以上に、強い個性をもつハリルホジッチであれば、国際舞台において日本代表が更なる進歩を遂げるために必要とされる厳粛さをもたらす可能性がある。アルジェリア人ジャーナリストのマハ・メザヒ氏は「ハリルホジッチ政権下のアルジェリアは非常に飢えた状態でプレーしていた」と話す。これはここ数年の日本代表のパフォーマンスにおいて不足しているものである。
どちらが日本代表の指揮官として相応しいかどうかは、経済的な要素や彼らの契約状況、そして彼らの要求(コーチを含めたスタッフ等)を考慮することで煮詰まってくるだろう。しかし、両者はともに強いパーソナリティーをもち、彼らの経験が日本代表に様々な新しいアイディアを与えることは間違いないだろう。
不甲斐なかったアジアカップの結果も含め、日本代表はハビエル・アギーレ在職期間に起きた混乱に素早く対処し、サポーターの信頼を取り戻さなければならない。
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