“ドリームチーム”の一員だったラウドルップ
ハビエル・アギーレ氏の契約解除から4週間が過ぎようとしており、日本代表を指揮する人物は2、3人に絞られている。
ミカエル・ラウドルップとヴァヒド・ハリルホジッチが有力候補である一方で、鹿島アントラーズでも指揮を執ったオズワルド・オリヴェイラ監督は、いずれの人物とも契約を交わせない場合の“安全策”として候補に挙がっている。
現時点では誰が最有力かという統一見解はないため、ここでは協会の決断に影響しかねない両者の良し悪しを吟味することにしよう。
「ラウドルップ」――。アメージングなフットボーラー、人を引きつける監督
50歳のラウドルップは、ユベントス、バルセロナ、レアル・マドリー、アヤックスといった世界のトップクラブのユニホームに袖を通し、選手としては素晴らしいキャリアを築いた。デンマーク代表としても100試合以上でプレーし、1986年と1998年のワールドカップに出場している。
ラウドルップは、卓越した技術と試合の流れを読む力に長けた、素晴らしい攻撃的MFだった。日本のファンにとっては、1985年のインターコンチネンタルカップでユベントスの一員として来日したラウドルップが、国立のアルヘンティノス・ジュニアーズ戦で決めたゴールを思い出すかもしれない。
ラウドルップが“ドリームチーム”の一員としてリーグ4連覇を達成したバルセロナ時代の監督は、彼の幼少時代のヒーローであるヨハン・クライフだった。今では両者の関係は冷え切ってしまったともいわれているが、ラウドルップのフットボールへの哲学には伝説的なオランダ人が計り知れない影響を与えたことは間違いない。
ヘタフェとマジョルカを率いたスペイン時代とスウォンジーを率いたウェールズ時代は、ラウドルップは4-2-3-1を基本布陣とし、ショートパスとプレッシングを主体とした攻撃的なフットボールを趣向した。アルベルト・ザッケローニ時代にすでに用いられた方法であることを踏まえれば、日本代表にとって彼のシステムは実行しやすいものだ。