昨季最大級のインパクトを残した
昨季のハイライトは、何といってもJ1昇格プレーオフの準決勝だろう。1-1のまま時間が経過し、このままドローで終わればリーグ戦上位のジュビロ磐田の決勝進出が決まる。そんな状況で生まれたのが、守護神・山岸範宏による値千金の勝ち越しゴールだった。
後半アディショナルタイム、CKを得た山形の選手たちが相手ゴールへ駆け込む。攻めあがっていた山岸が渾身のジャンプから頭で合わせる。これが決まって山形が望みを繋ぎ、決勝も突破し、そのままJ1昇格を勝ち取った。
山形にも、山岸にも、ただの勢いでは片付けられない不思議な力が宿っていた。そして、12月には天皇杯決勝まで進出。3冠制覇を目指すガンバ大阪の前に敗れたものの、クラブはシーズン終盤に大きな注目を集めた。山岸のゴールはこの年最大級のトピックとなった。
とはいえ、昨季のリーグ戦は6位。7位の大分トリニータとの勝ち点差はわずか1だった。確かにプレーオフで劇的な試合を演じた。しかし、言い換えれば自動昇格を果たせなかったということ。
ぶっちぎりの首位で昇格した湘南ベルマーレの昨季の勝ち点は101。2位の松本山雅は83。ギリギリで最後の椅子を勝ち取った山形にとって、J1は厳しい戦場になることは間違いない。さらに過去2回のプレーオフで勝ったクラブは、いずれも1年で降格する憂き目にあっている。
1年でJ2に逆戻りすることだけは避けたい。クラブは残留を最優先に考えざるを得ない状況で、可能な限り補強を行った。
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