判断から決断…そのチョイスが試合結果を大きく左右する
状況を把握して選択肢を判断した後に、どの決断をチョイスしたかが試合結果に大きく作用します。チュービンゲン大学の心理学者であるエバーハルト・カールズ教授はサッカーの1シーンを心理学の側面から分析し、決断力をトレーニングするのはどうしたらいいかを説明しています。
「サッカーの試合における決断に至るプロセスを一つひとつ定義づけていくことは難しい作業だ。そこで、2012年欧州選手権決勝戦『スペイン×イタリア』でスペインの2点目をアシストしたシャビのプレーを例として挙げ、検討、プラン、実践、結果の4点から分析してみようと思う。
41分、シャビは中盤やや左サイド寄りでパスを受けた。ボールを受ける前にすでに周りを見渡し、状況を把握していたシャビはトラップするとそのままスピードに乗ったドリブルを開始した。
認知的観点から見るとこれが検討している段階にあたる。ドリブルで進みながらシャビは次のプレーの選択肢を探っていく。外から観察するとサイドチェンジやタッチライン際を上がるジョルディ・アルバへのパスも可能だった。
だが、シャビはドリブルで持ち上がっていく。おそらく、シャビはかなり早い段階でこの決断を下していたのだろう。
そのプランを定めたシャビにとって、実践段階でいつ、どのようにアルバにスルーパスを送るかがポイントになっていた。
アルバがスピードアップをしてDFラインの裏に抜け出していく瞬間を待ち続けたシャビは、最適なタイミングとスピードとコースにスルーパスを送った。判断・決断した選択肢を実践できるだけの技術が伴っていたことで完成したパスだった(結果)」