「ゲーゲンプレッシング」を支えるのは高度な状況判断力
このゲーゲンプレッシングを実現するために重要なことは、ポゼッション時のポジショニングです。
パスを回しながら数的有利な状況を作り、すばやい縦パスからのコンビネーションを狙います。縦へのパスが入る時に周りの選手がすぐにパスを受けられる状態であるのと同時に、もし敵にボールを取られた場合にすぐ奪い返しにいける準備も必要になります。
ただ、ゲーゲンプレッシングは自分たちも準備が整っていない陣形からプレスに行くために、うまくボールを取れないと相手にカウンターのチャンスを与えてしまう。
だから、奪われた瞬間に「ゲーゲンプレッシングを仕掛けるべきなのか」「自陣に引いて陣形を立て直すべきなのか」という判断が問われます。もし行けると決断した場合は躊躇せず「何が何でもここでボールを奪い返す」という強い意志でプレスに行くことが一番大事です。
「ボールを失った直後の5秒間でボールを奪いにいき、そこでボールを取り返せるかどうかが肝心だ。相手にボールを明け渡し、ポゼッションに対応して守備させられるよりも、エネルギー消費効率はいいんだ。だから、失った直後の5秒間で奪い返すべき。
これを選手に理解させ、集中を切らさずにボールをなくした瞬間にギアを入れられるかどうかが指導者の仕事だろう」
ドイツサッカーを改革した立役者の一人であるラルフ・ラングニックは、こう語ります。クロップがライフキネティックを導入し、『意志力、集中力、判断力を鍛えること』を重要視するのはそのためだと言えるでしょう。