判断スピードを鍛える『ライフキネティック理論』
判断スピードという部分で、最近ドイツではある新しいトレーニング理論が注目を集めています。『ライフキネティック理論』です。
それは、ふたつ以上の異なる動きを同時に行うことで脳に新しい刺激を与え、その働きを活性化させるというものです。
例えば、ボールを両手で持って空中に投げてそれを取る。取る前に両手を交差させる。取る前に手を水平に伸ばす。取る前に左手は水平、右手は前に出すなど様々なふたつ以上の異なる動きにトライしながら、常に脳へ刺激を与え続けます。
そうすることで子どもの想像力を伸ばし、集中力を高め、スポーツ選手はパフォーマンスが向上すると言われています。もちろん、大人にも有効です。
就業中のストレス耐性を高めたり、シニア世代は記憶力アップ、より機敏になるという研究報告もあります。ドルトムントのユルゲン・クロップ監督がいち早く採用し、効果を絶賛しています。
そのクロップ監督のドルトムントが、ブンデスリーガ優勝、チャンピオンズリーグで準優勝していた時期、実践していたハイスピードサッカーで肝となったのが『ゲーゲンプレッシング』という戦術です。自分たちの陣形を整えたうえでボールを奪う従来のプレスと異なり、ボールを失った直後のまだ50%50%の状況下で、チームが連動してすばやくボールを奪い返すもの。
ただでさえ攻めようと思って重心が前にかかっている状態から戻るのは難しいものですが、それが今まさに前に出ようかという瞬間に奪われると守備への対応はどうしても後手になってしまいます。
だから、ゲームをコントロールすると同様に、ボールを失うことをも自分たちのカウンターチャンスにつなげようという積極的な戦術です。