ファンが恋したモラタのプレー
3つ目は、『アッレグリ采配』である。ユベントスの指揮官、マッシミリアーノ・アッレグリはこの試合でユベントスの未来をファンに提示した。
“ビアンコネーリ”(白と黒、ユベントスの愛称)は、セリエAにおいて2位ローマを大きく引き離しており、首位のままシーズンを終えるだろう。年明けからは少し調子を落としてしまったが、その状況を冷静に見極めたアッレグリはCLを落ち着いて戦うことができた。これは、前任のアントニオ・コンテにはできなかったことだ。
前々節のチェゼーナ戦ではドロー、前節のアタランタ戦では苦しみながら勝ち点3を得たが、アッレグリはCLに向けてしっかりと気持ちを切り替えることができた。この点からも、アッレグリがコンテよりも優れているといえる。彼が率いるチームは、ベスト4まで勝ち進める実力があることを証明した。
自らのプランに迷いを感じたクロップ監督を横目に、その狡猾さで我々が思い描いていた構図を見事に裏切ってみせた。それはまるで、典型的なイタリア代表対ドイツ代表の試合を見ているようだった。
4つ目は『モラタのプレー』である。この22歳のスペイン人ストライカーは、テベスのゴールを演出し、自らもゴールを決めて見せた。しかし、彼がファンの心を掴んだのはそれだけではない。
試合終盤の87分、ヘンリク・ムヒタリアンをチェイスしてボールを奪い、ピッチの外に出ようかというボールにスライディングでキープを試みた。結局ボールはラインを越えてしまったのだが、このプレーに大きな拍手を送ったユベンティーノは、モラタに“恋をした”。22歳にして1試合でゴールとアシストを記録し、ディフェンスにも奔走してファンから愛されるストライカーは、世界的に見ても稀有な存在である。
日本にも、宇佐美貴史や武藤嘉紀といった素晴らしいストライカーがいるが、彼らはまだそのレベルには達しているとは言い難い。モラタのプレーを参考にすべきストライカーは多いだろう。