「これぞCL」という一戦
この試合が行われるまで、我々は様々な思いを巡らせていた。「ユベントスが攻撃を仕掛け、ドルトムントがカウンターでどうチャンスを作るのか」「香川真司はイタリア王者相手にどのようなプレーを見せるのか」――。
しかし、180分に渡る死闘の前半終了を意味するホイッスルが鳴った時、我々の考えは杞憂に終わったことを思い知ったはずだ。実際には、ユベントスがカウンターから2ゴールを奪い、香川の出番は訪れなかった。だが、高いインテンシティと戦術的な試合に、見入ってしまった人も多いことだろう。
試合は、ジョルジョ・キエッリーニのまさかのスリップでマルコ・ロイスに同点とされながらも、カルロス・テベスとアルバロ・モラタのゴールでユベントスが先勝した。
この試合には、今後の日本サッカーにおいて学ぶべきポイントも数多くあった。ここでは、「5つのポイント」とともに試合を振り返りたい。
1つ目は、何といっても『CLのレベルの高さ』である。両チームともに、誰一人として球際での1対1やボールへのチャレンジに手を抜くことはなく、緻密な戦術が絡み合う高度な試合だった。
90分が終わったとき、何とも心地よい“疲労感”に襲われた人は、私だけではないだろう。ベスト16にして、「これぞCL」という試合をこの2チームは見せてくれた。
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