マイナス要素が重なったシーズンの序盤
シーズン終了後に、一年を振り返ったとき「あれがターニングポイントだった」と呼べる試合がある。
もしもパリSGが今シーズンを好成績で終えることができたとすれば、その転機となったのは、チャンピオンズリーグ決勝ラウンドの1回戦、対チェルシー戦の1stレグだろう。結果は1-1のドローだったが、この試合を機にチームは明らかに変化した。
そこに至るまで、今季のPSGは批判の声にさらされていた。国内では比較にならない戦力を備えた彼らは優勝候補の筆頭でありながら、前半戦はマルセイユ、年明け後からはリヨンと、ともに前年度からの戦力で細々と戦うライバルチームに首位を奪われたのだからそれも仕方ない。
年明け第1戦で、格下のバスティアに4-2と大敗すると、ブラン監督解任説も浮上した。もちろんその背景には、いくつか原因はあった。
ブラジル、イタリア、フランス等々、各国代表で占められたチームは夏のW杯出場を経て心身ともに疲弊し、プレシーズンにも十分な準備ができなかった。
とくに地元ブラジル開催のW杯でドイツに大敗したチアゴ・シウバやダビド・ルイスのメンタル的な後遺症は大きく、そこで頼りになるはずの主砲イブラヒモビッチもかかとの怪我で長期欠場とマイナス要素が重なり合った。
そんな状況の中で両カップ戦にも残っているのは立派といえるが、おかげでリーグ、CLと合わせて4つのコンペティションを掛け持ちすることになり、2、3日間隔で試合をこなす過密スケジュールが続くことも珍しくなかった。
このチェルシー戦も、そんな苦境の中で迎えた一戦だった。彼らは、昨シーズンの準々決勝で対戦した相手であり、前回は2試合合計3-3と同ゴール数ながら、パリで1点獲っていたチェルシーがアウェーゴールの利を得てセミファイナルに勝ち抜けた。