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本田圭佑 10年前

本田が気づいたミランの異変。不調をもたらした恐怖心と10番が目指すべき一歩先

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

イタリアでのファンとメディアからの評価

 翌日の新聞採点がひどいことになるだろうというのは予想できたし、実際そのようになった。攻撃で結果を出していないという理由で選手が叩かれ、外国人選手がスケープゴートにされるのは、別に今に始まったことではないのだ。

「日本人記者を喜ばせただけ」――。

 こういう寸評のもとに最低点がつけられるのを今まで何度も見てきた。カターニアで地元の人々にたいへんな人気を博していた森本貴幸に対してですら、そんな事情に関心のない記者は平気でネガティブなレッテルを貼った。

 さらにインテル移籍後の長友佑都に理不尽な評価がされたことは、これまでもさんざん報じられている通り。失点に絡んでいなくても、なぜか最低点をつけられている試合は少なくなかった。「質の高くない外国人選手が増えたために、イタリア人が活躍の場を奪われた」などという言論が普通に言われる世界である。助っ人には厳しいのだ。

 これはピッチ上の努力と実績で跳ね返していく他はないし、数字さえ出れば酷評したことも忘れて調子よく手のひらを返すことだろう(開幕後7試合で6ゴールを挙げたときのように)。ただ問題は、サン・シーロに集うファンもこれまでになくヒステリックになっていることだ。

 結果が出ないことに不満を募らせる彼らは、やたらとブーイングをする。パスやシュートのミスは当然なのだが、じっくりとタメを作って味方の上がりを待とうとしたり、DFラインでパスを回してビルドアップを図っただけでも「早く攻めろ!」と怒り出すのである。興味深いことに、この雰囲気は最近のミラニスタだけでなくインテリスタも同様なのだ。

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