縦パスを2列目へ。スピードを活かす新戦術
「サイドハーフ、前半だったらカンプルと、シンジ君も来たし。ピシュチェクが高い位置を取って。ギュンドアンが、うちのサイドハーフとボランチの間のちょっと前にいるので、どうしてもこう、出てしまったらワンタッチで中盤のラインの背後のスペースを使われるっていうのがあったので、凄くこう、自分は食い付きにくい。そこは行ってしまうと、簡単に裏をやられてしまう」
38分、ギュンドアンがロイスに入れると、「食い付いた」酒井は香川に「簡単に裏をやられて」しまう。香川はヒールで落とし、ギュンドアンが走り込んで決めて、ドルトムントが追加点を奪う。
26分には、サヒンが右サイドで2列目の香川に縦パスを入れて、ロイス、カンプルを含めた攻撃がスタートしている。
そして前半終了間際の42分では、ソクラティスがロイスに打ち込んだ。
冬季中断期間中の最後のテストマッチ、デュッセルドルフ戦の後で「あるべき場所に辿り着いたという感覚が私にはない」というコメントを残したクロップだが、少しずつ「あるべき場所」=香川の言う“そこ”に「辿り着き」つつあるのかもしれない。
前半戦最後のブレーメン戦でクロップがベンチ前でしきりに「縦に入れろ!」と叫んだのは、既に頭の中に、このスタイルの萌芽があってのことだったのだろう。
2列目に収めるというスタイルであれば、必ずしもワントップがターゲットマンとして機能する必要はない。必要なのは、周囲と連係を取れるスピードのあるアタッカー、つまりオーバメヤンということになる。
そして酒井が「あまりにも一瞬で判断をするのが難しかった」という速攻は、香川が「固められたときにどう崩すか」と言う、今季ドルトムントを苦しめて来た引いた相手にも有効なものとなっていくのではないだろうか。
そして結局ドルトムントが3-2で勝利したシュトゥットガルト戦で、なぜ香川の2アシストが生まれたのか。“そこ”が大いに関係していることは、間違いない。
【了】
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