守護神は西川で決まり。監督は若手の積極起用を
守護神は昨季に続いて西川周作が務めることは間違いない。2014年のベストイレブンにも輝いた日本代表GKは、フィールドプレーヤーにも劣らない高い足元の技術と正確無比なパントキックで攻撃にも参加。守っては第10節から第16節までの7試合連続無失点の立役者となり、GKとしてのJ1年間完封記録を更新。2013年終盤に崩壊した守備陣を支え続けてきた。
しかし、それと引き換えに山岸範宏と加藤順大という2人の生え抜きGKが浦和を去った。山岸は昨季途中から期限付き移籍していたモンテディオ山形で神がかり的な活躍を見せて完全移籍、加藤は同じ街のライバルである大宮へと移籍した。
ギラヴァンツ北九州に期限付き移籍していたユース出身の大谷幸輝が復帰し、水戸ホーリーホックからの期限付き移籍期間を延長した岩舘直とセカンドGKの座を争うことになるが、J2での出場経験を考慮すると大谷が一歩リードか。いずれにしても西川がフル稼働できるのであればGKに全く問題はないが、代表に招集された際の穴をこの2人が埋められるかどうかがこのポジションの課題となる。
今季は期限付き移籍からの復帰、ユースからの昇格も含めて11人の選手を補強。しかし同時に多くの選手を失った。坪井、加藤、濱田という生え抜きが浦和を去り、山田、矢島慎也、阪野豊史は出場機会を求めて期限付き移籍を決断した。
「2007年以来のタイトル獲得を」という至上命題を達成するためには、大型補強は致し方ない部分もあるが、才能ある若者を手放し続ければ、浦和の将来は明るいと言えないだろう。試合数が多いからこそ、ペトロヴィッチ監督は茂木や岡本らにチャンスを与えるべきだ。さもなければ、長期的なタイトル争いだけでなく、サポーターの心も離れてしまうことになる。
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