不安の残るボランチとDF陣
ボランチには、キャプテンの阿部が絶対的な存在になることは今季も変わらないだろう。ペトロヴィッチ監督のサッカーにおいても最も高い戦術理解度を必要とするこのポジションには、センターバックとボランチを高いレベルでこなせる阿部の存在が不可欠だ。
ベテランの鈴木啓太は昨季からパフォーマンスを落としており、青木拓矢は大宮時代の活躍を見せたとは言い難く、ペトロヴィッチ監督は阿部のパートナーとなる選手を決めきれなかったと見える。
このポジションには2011年に前橋育英高校から浦和に入団し、昨季は徳島ヴォルティスに期限付き移籍していた小島秀仁もいるが、J1で最下位だったチームでリーグ戦11試合しか出場していない22歳の選手に、このポジションを完全に任せるのは少々荷が重い。
アルビレックス新潟からレオ・シルバ獲得の噂もあったが、結局同選手は契約を延長。リーグ戦、ACL、カップ戦を勝ち抜いていくためには、少々選手層が薄いことが懸念材料だ。そのため、先に述べたように柏木を阿部のパートナーに据える可能性もある。山田直輝が湘南ベルマーレに期限付き移籍したことがどう出るか。
ディフェンスは昨季に続き、森脇良太、那須大亮、槙野智章がレギュラーを務めるだろう。特に森脇と槙野のポジションは、守備時にはセンターバックとして中央を固め、攻撃になったらサイドバックとしてワイドに開く特殊な戦術を要求される。
FC東京から獲得したベテランの加賀健一はセンターバックとサイドバックをこなせるため、このポジションへの適性はあるが、昨季リーグ戦7試合の出場に留まった同選手がこの戦術にすぐにフィットできるかどうかは未知数だ。ユースから昇格した茂木力也やV・ファーレン長崎から復帰した岡本拓也、元日本代表の永田充がバックアップを務めるが、選手の質や経験値を考えると、ボランチ同様に不安が残る。