課題となった「俊輔の代役不在」
原因はいくつかある。まず1つ目は得点源を確立できなかったことだ。一昨季16得点を挙げたマルキーニョスを神戸に引き抜かれたが、最後までその穴を埋めることができなかった。
清水から新加入の伊藤翔は最終盤の3試合連続ゴールこそあったものの、32試合に出場して8得点。W杯による中断期間中に加わったラフィーニャは、スタメン出場した3試合で4得点を決めるなど、希望が見え始めたところでまさかの負傷離脱。早々とブラジルに帰国してシーズンを終えた。
また、昨季プレーしたFW陣はいずれもマルキーニョスのように器用なタイプではなく、中村俊輔をトップ下に置いて1トップを採用すると、前線でボールが収まらずに攻撃が止まってしまう場面も見られた。
低迷の原因2つ目は負傷者の多さである。特に夏場以降、中町公祐、小椋祥平、富澤清太郎といった中盤の要が揃って長期離脱となり、慢性的な負傷を抱えていた中村俊輔、齋藤学といった選手たちもコンディション不良から明らかにプレーの質が低下していた。
齋藤は9月以降まったくゴールを決められず、中村は直接FKでのゴールを1つも挙げられなかった。また、2人の離脱で攻撃の起点が消滅し、効果的な形を作れぬまま、改めて「俊輔の代役不在」という大きな課題を突きつけられた。
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