アップグレードではなく、ダウングレードしたミラン
本来、チームというものは練習を重ね、試合をこなすごとに完成度が上がっていくものであるはず。
例えば川崎フロンターレは、2012年途中に就任した風間八宏監督の指揮でスタートした2013年、開幕6戦未勝利と苦しいスタートを切った。それでも、戦術が浸透してからは強さを発揮して3位フィニッシュ。ACL出場権を獲得するに至った。
ところが、フィリッポ・インザーギを監督に迎えてスタートを切ったミランは、開幕当初こそ勝ち点を積み上げていたが、ここにきて完全に自らを見失ってしまった。
ウイングのメネズを“偽9番”、トップ下が本職の本田を右ウイングとして起用し、カウンターを基本スタイルとする明確なビジョンを持ってチーム作りに取り組んでいたにもかかわらず、その全てを放棄した。
確かに11月、12月の試合では上記のポイントを抑えられて機能しなかった試合もあった。スタートダッシュに成功したチームが相手に研究され、徐々に順位を落としていくこともサッカー界で珍しいことではない。そして、その状況を打開するために新たな要素を1つ2つ取り入れることは悪いことではない。
しかし、『ミラン』(インザーギ監督に全ての責任があるわけではないはず)はプラスαを加えるのではなく、全てを捨てることで特徴もなければ怖さもないチームへ“ダウングレード”させてしまったようだ。
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