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本田圭佑 10年前

“ダウングレード”したミラン。「チームのための新たなスタイル」に潰された本田

セリエA第23節、ミランはエンポリと対戦して1-1と引き分け。しかし、内容では完敗といえるものだった。インザーギ監督の下、明確なビジョンを持ってスタートしたが、今や特徴も怖さもないチームに変貌。本田の右サイドは最もその被害を受けたポジションとなった。

text by 海老沢純一

「御粗末なプレー」が象徴するチーム状態

“ダウングレード”したミラン。「チームのための新たなスタイル」をチームに潰された本田
83分にGKディエゴ・ロペスが退場【写真:Getty Images】

 前回対戦から約5ヶ月、ミランとエンポリの「完成度」は完全に逆転してしまった印象だった。

 9月23日にエンポリのホーム、スタディオ・カルロ・カステラーニで行われた第4節、ミランは2点を先行されながらも482本のパスを出して81%の成功率を記録。14回のチャンスを生み出して15本のシュートを放ち、フェルナンド・トーレスと本田圭佑の2ゴールによって勝ち点1を手にした。

 対するエンポリは、得点数こそ同じ2だったものの、402本のパスで成功率76%。さらに、作り出したチャンスは10回で、シュート数は13本と全ての面でミランを下回っていた。

 しかし、舞台をサン・シーロに移した第23節、ミランは405本のパスで成功率77%。作り出したチャンスは6回にとどまり、シュート数も1ケタの7本。一方のエンポリは569本のパスを出して85%の成功率を記録。11回のチャンスを作り出して16本のシュートを放った。

 結果としては1-1で勝ち点1を分け合ったため、ミランにとっては成功、エンポリにとっては勝ち点「2」を逃した気持ちだろう。だが、6年ぶりのセリエAで残留を目標とするチームに、国際タイトル数世界1位で欧州カップ戦出場権を目標とするチームがホームにもかかわらず内容で負けていては辛い。

 この試合、その象徴と言えるのは27分にラミが放ったロングシュートと、83分のGKディエゴ・ロペスの退場だ。

 前者は、チームの攻撃が機能していないため、苦し紛れの中で生まれたシーンであり、後者もまたギリギリの精神状態を強いられているGKによる苦し紛れの中で生まれたありえないミスだ。

 どちらのシーンも自らに自信を持ち、メンタル面で落ち着いていれば生まれなかったものであり、「御粗末なプレー」であったことは否定できない。

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