別メニューで回復を図る本田
さて、そのことを踏まえた上で、同じくオーストラリアからイタリアに戻ってきた本田について振り返ってみよう。こちらは故障せずに3試合に出場したが、いずれも不発に終わる。
すると7日のユベント戦後には地元紙に「多分アジア杯の疲労がとれていないのだろう(コリエレ・デッロ・スポルト)」などと書かれた。
実際、トップ下として豊富に動いてはいたが、ゴール前でのキレに欠けた。ユベントス戦でのトップ下起用は、ピルロを牽制することが目的。そのため本田は守備の際に相手に張り付き、攻守が切り替わればスペースに細かく流れてパスをつなぐという働きをこなしていた。
ただこれらのタスクは、選手に相当の運動量を要求する。ユーベの中盤の強烈なプレスに常にさらされ続けたこともあり、ゴール前に向かう体力までは残っていなかったのである。
ゴールを奪うにあたって、本田は技術とともに走り込みの質の向上などを課題として常に挙げていた。つまり点に絡むためには、前へ走り込んだり密集地で前を向いたりするために必要な体力を残しておかなければならないということだ。
しかしアジアカップで疲労を蓄積して戻って来た彼には、アタッキングサードに走り込むまでの体力やキレは残っていなかった。
ユベントス戦を前に、タソッティ助監督は本田について「大分コンディションは戻ってきて試合には起用可能」と言っていた。だがそれは、完全な回復を意味してはいなかったということになる。
時には中2日という過密日程で、アジアカップを戦い抜いてきたダメージは体に蓄積している。体のキレを取り戻させるために、ミランのトレーニングスタッフは2、3週間のスパンで回復メニューを組んでいるという。
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