国際大会で不可欠な存在となる帰化選手
最も欠けているものは、ひらめきであり、UAE代表のオマール・アブドゥラフマンのような静寂な攻撃のなかでも局面を変えられる選手だ。
幼少期から厳格さや一定の風習がある環境で育った日本の選手たちの本能を助長することは難しい。ひらめきを身につけるためには、自我を表現できる自由な環境を作ることや、試合を学ぶため海外への選手派遣を援助することなど、ユース世代の指導構造の改革が必要である。
似たような路線で言えば、日本で生まれ育った選手以外を起用することも有益だ。ラモス瑠偉や三都主アレサンドロは過去日本代表として国際舞台でも活躍し、田中マルクス闘莉王はスペイン代表との準々決勝進出まであと一歩に迫った2010年チームの不可欠な存在だった。
日本人の父とドイツ人の母のもとニューヨークで生まれ、現在はシュツットガルトでレギュラーを務める酒井高徳は、オーストラリアで戦ったサムライブルーのなかで傑出したパフォーマンスを見せた選手であり、鹿島アントラーズのカイオは、生まれ故郷のブラジルではなく日本代表帰化に傾き始めている。
W杯で優勝した1998年のフランス代表や2014年のドイツ代表は、多様な経歴をもつ順応性の高い選手が揃っていたため、成功に必要不可欠な意外性を生み出すことができた。
もちろん現在噂される何人かの監督候補は日本の良さを少しは引き出すことができるかもしれない。しかし、構造全体を考える部分的改良の方が将来、より大きな報いを手に入れられる可能性がある。
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