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類を見ないポルトガル人監督によるCL。勝ち残った“マディラの真珠”は富豪の舌を唸らせるか

text by 齋藤祐太 photo by Getty Images

バトルロワイアルの蚊帳の外で

 熾烈な争いを制し、決勝トーナメントに駒を進めたポルトガル人監督は3名。

 モナコのジャルディンは、同クラブのレジェンド、アーセン・ヴェンゲル率いるアーセナルと対戦。チェルシーのモウリーニョは、モナコよりも一歩先を行く富豪クラブ、パリ・サンジェルマンと、昨季の激闘を再現する。「6人目のポルトガル人監督」であるパウロ・ソウザ率いるバーゼルは、母国の強豪ポルトと顔を合わせる。

 ちょうどポルトガル・バトルロワイアルの蚊帳の外に置かれたこの2者が、偶然にも決勝トーナメントで激突するというのだから、CLの神様は、よほど前年の決勝ステージ、リスボンのルス・スタジアムを気に入ったのだろう。

 2014-15シーズンのポルトガルリーグを、18チーム中唯一、外国人監督(スペイン人のフレン・ロペテギ)とともにスタートさせたポルト。その代償か、チームはポルトガル人大歓喜のバトルロワイアルの陰で、ひっそりと、しかし確実にグループステージを戦い抜いた。そのポルトに、イングランドの名門リバプールを差し置いて決勝トーナメント進出を決めた、バーゼルのパウロ・ソウザが挑む。

 これまた偶然なのか、パウロ・ソウザはベンフィカとスポルティングに在籍した過去があるものの、両者のライバル、ポルトでのプレー経験はない。パウロ・ソウザ自身も、ポルトのファンたちも、特別なライバル心を抱いて対戦に臨むことだろう。

 グループステージでは、ポルトガル人監督によるバトルロワイアルの第一幕が終わり、決勝トーナメントでその第二幕が始まろうとしている。彼ら3名が勝ち抜き、トーナメント上部で再び相見えたとき、バトルロワイアルは無事完結、終幕を迎える。その主演を演じるのは、百戦錬磨のモウリーニョか、陰の実家者パウロ・ソウザか、若き名将ジャルディンか。それとも、全員が敗れ、第二幕で「打ち切り」となるのか。

ポルトガル国民が待ちわびるバトルロワイアルが再び幕を開ける。

【了】

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