すべての試合で限界を超えて戦っている
――“最も美しくはない。だが最も難しいリーグ”。今なお多くの専門家たちがセリエAをこう評する。事実、難しいがゆえに高い技術が個人と組織戦術の双方で求められるイタリアで、マルキージオのインテリジェンス(intelligenza calcistica)は屈指と言われる。いかにしてその高度な戦術眼は磨かれたのか。また、ユース時代から今日までを振り返った場合、最も強く君の記憶に残る指導とは一体どのようなものなのだろうか。
クラウディオ・マルキージオ(以下、M) ルイウ、そう言ってくれることはすごく嬉しいし、本当にありがたいのだけど、いくらなんでもそれは褒め過ぎだよ(笑)。
ただ、そう言いながらも思うのはね、もちろん謙虚さを絶対に欠きたくはないのだけど、ここイタリアで中盤中央の選手として生きるのはきっと他のどのポジションよりも難しいんじゃないかと。
もちろん攻撃だけではなくて守備の技術も高いレベルで備えていなければならないし、何よりも重要なのは、その両方の仕事をやり遂げるための走力、そして耐久力と持久力。これをわずかでも欠けば直ぐにプレーの質を落とすことになる。いつだって極限の状態でやっているということだね。MF中央の選手が攻守の両面でミスを多発させるなんてことになればチーム全体が機能不全に陥ってしまう。
だからこそ僕らMFの選手たちには、それが物理的には不可能だとしても、シーズンを通して最高の状態(フィジカル・コンディション)を保つことが半ば義務として課されることになる。ただ、それはもちろん言うほど簡単じゃないんだけどね…(笑)。
そして、あえて誤解を恐れずに言えば、MF以外のポジションではある程度の“ごまかし”が利くのだけど、ことフィジカルの状態に関してMFがその不備を隠すことは絶対に不可能なんだよね。それこそ、特にこの僕のようなタイプのMFの場合は走れなければ存在意義がないに等しいのだからね。なので、正直に言って、もうすべての試合で限界を遥かに超えたところで戦っているんだよ(笑)。
――毎回、試合を終える度に君はまさに憔悴し切ったかのような顔になってるし。
M 確かに。痛々しいくらいにね(笑)。とにかく、最もキツイのはやっぱり僕らMFが攻撃に参加するときなんだよね。要するに、“インクルソーレ(襲撃者)”となって敵陣の深くにまで走るという、そして味方がボールを失う度にそれこそ全速力で自陣に戻るという…あの繰り返しはハッキリ言って辛い、と(笑)。