「プレーできるなら北極だって行く」
しかし、ベン・アルファがリヨンに所属していた時代、いつどの選手に聞いても、「練習でダントツに上手いのはベン・アルファだ」と答えたという。
彼はピッチの上で、「え? 今いったい何やった?」というような、奇想天外なプレーをやってのけるファンタジスタだった…とうっかり過去形にしてしまったが、テクニックとイマジネーションが傑出した彼のプレーを再び見られる日は来るのだろうか。
ただでさえ有能な選手は国外に出てしまう昨今のフランスリーグなのだから、ティリエス会長の言葉どおり、元代表の凱旋をサポートしても良さそうなものだ。
ニースのプエル監督は2008年夏、ベン・アルファのマルセイユ移籍と入れ替わりにリヨンに着任したが、その際オラス会長にベン・アルファを引き留めるよう懇願したという。しかし会長は聞き入れなかった。
ニースとの入団会見の席でプエル監督は「以前から評価していた選手とここで一緒にやれるのはうれしい」と希望を語り、27歳と選手として脂の乗った時期を無駄にしたくないベン・アルファも「躍進中のクラブとともに自分もいっそう飛躍したい」と弾けんばかりの笑顔で抱負を語っていた。
それからわずか数日のうちに、退団会見を開くことになるとも知らずに…。
2月3日、退団会見の席でベン・アルファは「プレーできるところがあるなら、北極だって行く」と言った。今季一番の名台詞になりそうなフレーズだった。
【了】
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