オシム氏とも親交。カリスマ性も十分
もう1つ目を見張ったのが若手選手の抜擢だ。ブラジルW杯にはベンタレブというトッテナム所属の当時19歳の選手が入っていたが、代表経験のほとんど無かったMFを本大会の主力に抜擢し、一躍ブレイクさせた。
このテクニシャンを中盤の軸にしたことで、ボール奪取からの展開力が上がり、アルジェリアの攻撃力を引き上げたのだ。
同胞の大先輩である元日本表監督イビチャ・オシム氏とも親交が深いハリルホジッチに関して、東欧のサッカー事情に詳しい長束恭行氏は「実際に会って、あのオシムさんにすら勝るとも劣らないカリスマ性を感じました」と語る。そのハリルホジッチを象徴する言葉がある。
「プレッシャーは大好きだ。本当に大好きなんだよ。ある監督や選手はプレッシャーに耐えられないかもしれないが、私は全てのプレッシャーが特別なモチベーションとなる」
しばしば日本代表、いや日本サッカーの課題にあげられるメンタルの部分で大事な何かをもたらせる可能性があると考えている。アジアカップで敗退した後、岡崎慎司が「何かが足りない」と語っていた勝負のカギ。それをもしかしたら、アギーレ前監督よりももたらせる可能性があるのではないか。
チームのベースを大事にしながら対戦相手を徹底的に研究する指揮官としても知られるハリルホジッチに関してもう1つ、長束氏が取材で得たコメントを紹介したい。これはハリルホジッチ氏がディナモ・ザグレブを率いていた時、ライバルのハイドゥク・スプリトに関して発した言葉だ。
「ここ最近、どれだけハイドゥクの過去の試合のビデオを見ただろうか。現時点ではディナモよりハイドゥクの方が詳しいだろうな(笑)」
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