ユベントスを相手に攻撃でのアピールを
そして、オーストラリアから戻ってきた本田がやりにくそうにしていたのも、連係の欠如というチーム事情が影響していたのだ。周りとの距離が遠く、パスを預けられずすぐに囲まれてしまう。
パルマ戦で左サイドに移されてからは、カットインが消された上にSBが守備的なボッケッティだったため、ボールを散らせず攻撃では窮屈そうにプレイしていた。
「点を取らなければミランの10番としては評価されない」と危機感を口にする本田にとって、得意な形でチャンスを作らせてもらえない今の状況は不本意なものだろう。
「もともとミランは選手間が遠かった。新しいミランを作らないといけない。イタリアのサッカーの文化はあまりパス交換を好まないが、将来のビジョンを描くなら他を勉強して受け入れていかないと」とまで語り、パス交換で崩す連係の構築を促していた。
もっともパルマ戦でインザーギ監督が90分間彼を使い、タソッティ助監督が本田を評価しているのも、パスサッカーをベースに養われたバランス感覚があるからだ。
現状それは攻守のバランスを取るという形でしか生かせてもらっていないが、その状況から点に絡めば、自分の望む方向へチームを導くことも可能かもしれない。
相手は強力なユベントス。タフな攻撃を前に中盤の守備にも貢献しつつ、前に出ていける運動量や動きの質を高めて、少ないチャンスを着実に活かしゴールを陥れる必要がある。
ユベントス・スタジアムでそれができれば、攻撃の上でもファーストチョイスに選んで貰えるようなアピールとなるにちがいない。
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