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本田圭佑 10年前

本田かチェルチか。バランスと突破力、それぞれに異なる利点。ユーベ戦へインザーギの選択は?

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

連携そのものを失ったミラン

 しかしながら、本田もオフェンシブな選手ではないのだろうか? 実際前半戦では6ゴールを稼いできたのだが、現在はその本田の持ち味が発揮されにくい状況になっている。

 本田は、細かく周囲とパスを回しながらスペースへと流れ、ゴールを狙うスタイルを持つ。今シーズンのミランではFWとして、よりゴールに近いエリアで得点を意識したポジショニングへと特化しているのだが、基本的にはボールを預けたり、またワンツーで崩したりという周囲との連係を必要とする。

 前半戦の5得点はまさにそうして取れたものだ。本田を右FWとして起用し、点を取らせたインザーギ監督のアイディアが当たった形だが、本田自身は「連係はたまたまできたもの」とも語っていた。

 そして本田は急に点が取れなくなっていくのだが、相手に研究されたという事実と同時に、連係の質が向上していかないことも大きく影響していたのだ。

 インザーギは後方からの組み立てを戦術上の柱としていたが、なかなか向上せずパススピードは遅くなる。11月にはモントリーボが長期故障から復帰するのだが、改善に結びつかない。そして本田がアジアカップで抜けた1月、チームからはついに連係らしき形そのものがなくなった。

 せっかく4-3-3でバランスが取れていたところを、4-2-3-1に、さらには4-4-2にいじる。エル・シャラウィやチェルチらワイドアタッカーを活かそうとするあまり選手間の距離がさらに広がり、こうなるとパスで崩すのは本当に難しくなる。

 結局チームの調子は、ただでさえ好不調の波が大きいメネズの個人技に左右されるようになり、その結果が1月の1分3敗だ。

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