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Jリーグ 10年前

【移籍選手データ比較】興梠慎三×李忠成×ズラタン

text by Football LAB

縦パスを受けた後の違い

【移籍選手データ比較】興梠慎三×李忠成×ズラタン
2nd、3rdエリアでの縦パス受け後のプレー

 浦和のペトロヴィッチ監督は広島時代も含めてJリーグで長く指揮を執っており、その戦い方が頭に入っているサポーターも多くいるだろう。その記憶の通り、浦和の攻撃は時間と人数をかける傾向にあり、ボールを奪ってからシュートまでの平均時間の長さはリーグ2位、経由した人数の多さは4位となっている(双方とも1位は広島)。よって1トップに求められる仕事は自身がフィニッシャーとなるだけではなく、周りの選手を使いながら攻撃をつないでいくこと。それも重要なミッションとなる。その比較を見るために、縦パスを受けた後のプレー選択とその成功率を抽出。対象としたエリアは、ピッチを6分割した中の敵ゴール側から2番目のエリア(2ndエリア)と3番目のエリア(3rdエリア)とした。

 同エリアで縦パスを受けた際にワンタッチパスを最も選択しているのは李で、その割合はちょうど50%。李はキープしてからパスを出すまでの平均時間も3人の中で最も短く、より早くボールを動かそうとする傾向にある。そして縦パスを受けた後のプレーでも縦を意識しているため、ドリブルを除いて成功率は低い結果となった。

 興梠は李とは違う数値が出ており、スピード感は劣るが正確に味方につなげている。ワンタッチパスの成功率は70.6%。ほかの2人に比べてミドルレンジのパスも多く、さらに味方へつなげている傾向にあった。ボールを受ける前に味方がどこにいるか、どう動いているかを把握しているからこそ生まれた数値ではないだろうか。

 ズラタンについてはサイドに流れる傾向があり、サイドのポジションでスターティングメンバーに名を連ねることもあったため、左の2人とは縦パスの受け位置が大きく異なる。サイドと中央では求められるプレーも変わるため単純な比較が難しいが、数値としては興梠と李の間に入るような結果になった。ズラタンの縦パスの受け方がどう変わるのか。そして、それに対して周りがどう動くのかは注目だ。

 今回はこの3選手の比較を取り上げたが、広島から加入した石原もトップを務めることは可能だ。もちろん、この3選手が同時にピッチに立つこともあり得る。シャドーポジションの選手も含め、現有戦力と新戦力がどう化学反応を起こし、得点に変わるのか。今年から新たに設立され、今週末に初戦を迎えるJリーグ・スカパー!ニューイヤーカップで、その一端が見られるだろう。

【了】

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記事提供:Football LAB/データスタジアム

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