シュートデータの比較
ストライカーはゴールを奪うのが仕事で、ゴールを奪うためにはシュートを打たなければならない。そのシュートに関連した数値が図1だ。3選手とも1試合におけるシュート数は多い方ではないが、その中でも興梠は二桁ゴールを記録。枠内率も群を抜いて高く、右足、左足、頭それぞれのシュートの割合も偏りがなく近い割合となった。興梠の技術の高さがそのまま数値となって表れている。
続いてシュートパターンに目を向けてみよう。数あるパターンの中でも「クロスから」に注目したい。ズラタンが所属していた大宮と浦和の戦術の違いもあり、「クロスから」のデータの中でもその内訳は異なる。大宮のクロスはハイボールが多く、ズラタンのクロスからのシュートは83%がヘディングによるもの。浦和の場合は低いボールを送るケースもあるため、興梠のヘディング割合は65%、李は33%まで下がる。興梠はこの3選手の中では高さに欠けており、身長や空中戦の勝率は最も低い数値となっている。それでもヘディングシュートを放てるのは、クロスに対する飛び出し、ポジショニングの良さがあるからこそ。ポジショニングについてプレーデータで表現するのは難しいが、今回の例で見ると、クロスからヘディングシュートを打った数の中で、空中戦に競り勝って打ったシュートの割合が興梠は最も少ない31%だった(ズラタンは47%、李は67%)。これもまた興梠の特長の1つといえる。
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