鎮静化を図るAFC会長
実際、豪州のAFC加入後の2回のW杯は、アジアの1枠をアジア予選で豪州に持っていかれた。結果的に、2大会ともに湾岸諸国の出場は叶わなかった。それでいて、今回のアジアカップのタイトルにも自分たちが手が届かないうちに、またも豪州に持っていかれてしまうかもというところで、会長も燻る湾岸諸国の複雑な思いを代弁しようとしたのかもしれない。
他方、一部のファンなどからは「決勝直前に、豪州の気勢を削ぐ目的ではないか」との“陰謀論”めいた意見も聞かれた。しかし、事の発端、そして伝播の過程でイニシアチブを握ったのが、いずれも豪州人ジャーナリストのため、その辺の意図があったとはなかなか考えにくい。
決勝前日の30日、AFCはアル・ハリファ会長名でこの件に関しての公式見解を発表して騒ぎの鎮静化を図った。そこには、「豪州は2006年にAFCファミリーに歓迎されて以来、たゆまぬ努力であらゆるレベルでの貢献を見せることで、アジアでの地位を確立してきた。(中略)豪州は他の加盟国同様にAFCの正規会員であり、他の加盟国との関係性もこの先何年にもわたって強化されていく」とある。
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