突如加熱した豪州AFC追放の動き
そして、29日(金曜日)になってアップされたのは、当地の日刊高級紙であるシドニー・モーニングヘラルド紙のセバスティアン・ハサート記者の署名記事。結果的にこの記事が、今回の事件の拡散に一役を買った。このアル・ハリファ会長のコメントを引用した記事が出回るに及んで、「豪州、AFC追放か」のニュースは一気に豪州のサッカー・コミュニティを席巻したのだ。
同記事の見出しは、「怒れる湾岸諸国、豪州のAFCからの追い出しを画策」。記事の中では「サルマン・アル・ハリファAFC会長が、UAEの新聞(アル・イティハド紙)に語ったところによると、ここ数か月の間に噂され始めた湾岸諸国による豪州のAFCからの締め出しの動きがかなり勢いづいてきている。しかも、それはアラブだけの話ではないと認識していることを明かした」と会長のコメントを引用。
さらには、「AFC内の西アジア勢力に豪州を追い出そうとする欲求が存在することを証明する確かな証拠も揃っている」と衝撃的なコメントで読者の興味をそそった。
豪州サッカー連盟(FFA)のディビッド・ギャロップ会長は、「FFAとしては、西アジアからのこのような報道を聞き、ただただ驚くばかりだ」としたうえで、「我々はアジアの多様性を尊重している。このアジアカップは、この大陸での我々の貢献が主要国間での、サッカーだけでないその先の社会的、政治的の懸け橋になり得ることを示した」と語り、自国のアジア所属の正当性と意義をアピールした。
「火の無いところに煙は立たない」と謂う。これまで、今回のように明らかに表面化されることはなかったものの、豪州の加入によって様々なしわ寄せを蒙ったと考える中東諸国の、言うなれば「ひがみ」に似た感情も根強い。
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