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「サッカー不毛の地」にプロクラブを作ったサポーターたち『ベンジャミン・フランクリンの息子たち ―アメリカン熱狂サポーターライフ―』―東京国際フットボール映画祭上映作品―

アメリカは「サッカーの国」にはなれないのか?

「サッカー不毛の地」にプロクラブを作ったサポーターたち『ベンジャミン・フランクリンの息子たち ―アメリカン熱狂サポーターライフ―』―東京国際フットボール映画祭上映作品―
2月7日15:50の回と2月8日14:55の回に上映

 しかし、自分の街にサッカーチームを呼ぶためにサンズ・オブ・ベン(フィラデルフィアの偉人から名を取ったサポータークラブ)が見せてくれたパッション、献身、そしてガッツは、フィラデルフィアでしか見られないものだった。

 筆者も2010年の初ホーム開幕戦を現地で観戦したが、その試合はアメフトのスタジアムで行われ、フィラデルフィア初の「プロの試合」というだけで雰囲気は微妙なものだった。

 4年後、本拠地であるPPLパークで改めて試合観戦をしたら驚くべきほどに興奮してしまった。ゲーフラを持ったり、煙を使ったり、マフラーを振りながら歌ったりしているサポーターは、満員のゴール裏から全力でチームを応援していた。

 やはり、フィラデルフィアもサッカーが好きなのだなと強く感じた。

 たった74分間のこのドキュメンタリーは様々な物語を伝える。一つは「自分のチーム」を探して、やっとのことでそれを見つけられたサッカーファン。もう一つは不況を脱するための方法を模索する街。そしてその街の成功と闘争。

 しかし何よりも、これは「アメリカ・サッカー物語」の一つだ。

 2015年に20チームまで拡大するメジャーリーグ・サッカーは2014年に平均来場者数が初めて1試合19000人を突破した。これはNHLやNBAの平均数を上回る金星であり、国内サッカーのレベルは明らかに高くなっている。

 ところが、私がJリーグの試合を観に行ったときに一番聞かれる質問は「何故外国人は日本のサッカーが好きなのか?」ではなく、「何故アメリカ人なのにサッカーが好きなのか?」だ。

 もちろんそれは失礼なことではないが、明らかに日本人はアメリカを「サッカーの国」として意識していない。恐らくギャラクシーのベッカム、レッドブルズのケーヒル、そして今年渡米するランパード、ジェラード、とカカくらいしか日本人はMLSのことを知らない。

 サッカーの歴史はスター選手やビッグマッチだけではなく、サポーターやファンによって紡がれていく。だからこそMLSのことを理解するためには、リーグのスタッフではなく最初からいたファンの話を聞くべきだ。

 そしてリーグやクラブとの関係が複雑になってきたJリーグのサポーターはこの映画を見るべきだ。アメリカでも、フィラデルフィアでも、チェスターでもサッカーで盛り上がれるのだから、日本でももっと盛り上げることが出来るはずだ。

【了】

「ベンジャミン・フランクリンの息子たち ―アメリカン熱狂サポーターライフ―」上映スケジュール
2/7(土) 15:50~ トークゲスト:チェーザレ・ポレンギ(サッカージャーナリスト)、ダン・オロウィッツ(サッカージャーナリスト、サンズ・オブ・ベンのサポーター)
2/8(日) 14:55~ トークゲスト:チェーザレ・ポレンギ(サッカージャーナリスト)、ダン・オロウィッツ(サッカージャーナリスト、サンズ・オブ・ベンのサポーター)

チケットはこちらから

【東京国際フットボール映画祭 公式ホームページ】
http://football-film.jp/

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