「メジャー・スポーツ」が既に根付いていたフィラデルフィア
「フィラデルフィア地方でアメフトは間違いなく至高のスポーツ。米国でもっとも人気が高いと言われるアメフトチームがある。アイスホッケーのチームも同様に人気だ。(アメフトチームの)イーグルスでも果たせなかった優勝を取った野球チームもある。(バスケットボールの)セブンティシクサーズもある。NCAAディビジョン1の大学は7校もある。スポーツの市場は既に飽和していて、私でもついていけない。サッカーに関心を持つ余裕はありますか? フィラデルフィア人の心は、そこまで広いのかな?」
「ベンジャミン・フランクリンの息子たち ―アメリカン熱狂サポーターライフ―」では、このようにフィラデルフィアのスポーツラジオ94WIPのアンソニー・ガルガーノ氏がフィラデルフィアにおけるスポーツの背景を語る。
「2大スポーツ」に慣れた日本人には想像できないかもしれないが、アメリカではアメフト・野球・バスケットボール・アイスホッケーという「4大スポーツ」があり、全てが「メジャー」と扱われる。数字にすると「4大スポーツ」に参加しているチームは122もある。
「全メジャー参加」と言える都市は12。フィラデルフィアもその中に入っている。
一つの街に大きいスポーツチームが多くても2つしかない環境にいる日本人には考えられないほど、このような街で生まれたら「スポーツに育てられる」ことになる。
自分のチームで生きたり、死んだりする。フィラデルフィア人ならフィリーズ、イーグルス、セブンティシクサーズ、フライヤーズを応援する。友達も先生もボスも恋人も、いつか子供も応援する。
そしてようやく2010年にサッカークラブの「フィラデルフィア・ユニオン」がそのリストに追加された。
フィラデルフィアに生まれ育った者としては、なかなか信じられなかった。「4大チーム」は頭にしっかり入ったが、この街でサッカーが流行するのかどうかは心配だった。
ガルガーノ氏が語る通り、フィラデルフィア人の心はそれほど広くなさそうだった。