一番大事なことは「誰とでもサッカーができること」
年末のファミリーサッカー大会では、久しぶりに92年組の面々と顔を合わせた。そのなかには横内宏治(青学大4年)の姿もあった。横内は、中村がナショナルトレセンの北信越地区を担当したとき、スカウトした選手である。なめらかに加速するドリブルは、ブービーの愛称で親しまれた渡辺淳一(読売クラブ時代のチームメイト)を思わせた。
横内が身体的疾患でサッカーを断念したことと、中村が関与したことの直接的な因果関係はないにせよ、そこには深く交わった者だけが知る痛みがある。
「病気のことは本当にショックだったと思います。でもね、横内は立派に成長してましたよ。性格も頼りないというか、弱っちい奴だったんですけどねえ。みんなとああだこうだ言い合いながら、心底楽しそうにサッカーをしていた。それを目の当たりにして、感心しちゃったなぁ。こいつ、すごいなって」
そこにボールさえあれば、みんなで盛り上がれる。遊びを真剣にやれる。それが92年組の最大の特長だった。
中村はFC東京で受け持っている選手たちに言い続けている。いつでもどこでも誰とでも、サッカーができる人間になれ。それが一番大事なことなんだぞ、と。
【了】
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