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代表 10年前

遂に頂点へ――。アジアの雄へ正式に名乗りをあげたサッカルーズ 

サッカルーズは、韓国との120分間の激闘の末、初の栄光を手にした。1-1のまま延長戦にもつれ込んだ死闘は、途中出場のジェームズ・トロイージが値千金のゴールを挙げ、グループリーグで一度は敗れた韓国を2-1で下した。

text by 植松久隆 photo by Getty Images

死闘となった決勝戦

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決勝点を挙げたジェームズ・トロイージ【写真:Getty Images】

 サッカルーズが、4年前の決勝の無念を晴らして、遂にアジアの頂きを極めた。

 アジアの頂点まであと一つと迫った決勝で豪州を迎え撃ったのは、4年前に痛い思いをさせられたサッカルーズの“仮想敵”の筆頭である日本では無く、その日本の永遠のライバル韓国だった。

 豪州と韓国がフルメンバーでぶつかるとなった時、「かなり激しい試合になるな」という予感は当然あった。そして、実際にピッチで繰り広げられた試合は、互いが持てるものの全て出し尽くしての、まさに120分の“死闘”。両軍の強い気持ちが激しくぶつかり合いピッチのそこかしこでインテンシティがはじけ飛んだ試合は、アジアの王者を決める舞台に相応しいハイレベルの好試合となった。

 この日のスタジアムには、試合前日の段階で売り切れがアナウンスされていたように、ほぼ満員の76,385人の大観衆が詰めかけた。韓国の応援には、数でこそホームの豪州に劣るも応援の音量では負けない大応援団が動員され、ゴール裏席の片側は完全に赤に染まった。

 彼らからお馴染みの「テハミング」の掛け声が上がると、スタジアム中の韓国サポーターが唱和、地元のサッカルーズ・ファンの応援をかき消してしまうシーンが何度となく見られた。サッカルーズの応援には、自然発生的な応援がスタジアムを巻き込んで大きくなるというシーンが幾度か見られはしたが、相変わらず組織的なものは見られない個人観戦スタイル。

 応援よりも、この日のローカルの観衆のリアクションで興味深かったのは、試合前の表敬と試合後の表彰式で聞かれた激しいブーイング。試合前日に降って沸いた一部のメディアによる「豪州AFC追放」の動きがあるやの報道に呼応して、AFCの中東系要人の名前がアナウンスされるたびに強烈なブーイングが見舞われた。そこに込められた思いは、「アジアから豪州を追放するとは、いったいどういうことだ!」という怒りを表してのものだが、果たして彼らの思いは届いたのだろうか。

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