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香川真司 10年前

救世主ではない――。それでも香川がドルトムントに必要な理由。攻撃を活性化させる存在に

text by 本田千尋 photo by Getty Images

アジア杯早期敗退も、チームへの適応は可能に

救世主ではない――。それでも香川がドルトムントに必要な理由。攻撃を活性化させる存在に
理解者クロップの下で、香川は少しずつコンディションを整えて再びチームに溶け込んでいける【写真:Getty Images】

 公式戦とテストマッチ、チームスタイルの違い等はあるが、ドルトムントも中断期間中に、4試合の練習試合をこなしている。そしてプレッシングを基本とするクロップのコンセプトは変わることなく、チームは完全には出来上がっていない。

 仮にアジアカップで決勝まで6試合をフルに戦い終えて、ドルトムントがレバークーゼンに勝利し、中2日で続いていくアウクスブルク戦、フライブルク戦と波に乗っていってしまったところだったら、コンディションや再びのチームへの適応といった点で、現在に比べてチャンスが巡って来る可能性はかなり低いものとなるだろう。

 もちろん香川の現段階でのコンディションは万全とは言えないだろうが、このタイミングでのBVBヘの合流は悪くはない。

 とは言え少なくともコンディションを、例えば昨年9月27日に行なわれたシャルケとのルールダービーの時点の状態までには戻す必要はある。57分から途中出場した香川は、シャルケを相手にCBとボランチの間といった的確なポジショニングでボールの収めどころとなり、チームの攻撃を活性化した。

 その香川であれば、デュッセルドルフ戦の後半で見られた4-4-2でも、ロイスのように2トップの一角に入り、サイドで着実にボールを収めて起点となってBVBの攻撃を活発化させることが出来るだろう。4-2-3-1の2列目はもとよりである。

 状態が上がってくれば、少しずつ「新たな自信」も蓄えられるだろうし、得点感覚も戻って来るのではないか。そして救世主としての役割を求められていないということは、大きいのかもしれない。

 強行出場を避けられるのであれば、理解者クロップの下で、少しずつコンディションを整えて再びチームに溶け込んでいける。

 ドルトムントはリーグ戦だけでなく、チャンピオンズリーグ、ドイツカップといったカップ戦も残している。試合数は依然として多い。BVBの貴重な戦力としての香川が必要とされる場面は、いずれ訪れるはずだ。

【了】

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