3点のケーヒルを筆頭に延べ10人に及ぶ得点者
早々に2点のリードを得てからの豪州攻撃陣のパフォーマンスは、決して褒められるものではなかった。不用意なパスミスやドリブルで突っかけてボールを奪われるシーンが何度も見られ、ポゼッションも思うように取れず、組織的な攻めができたとは言えない。
単調になってきたテンポに変化を与えようと、ポスタコグルー監督は、後半13分、ミリガンに代えてマット・マッカイを投入した。
しかし、このマッカイは相手を生かして自分も生きるタイプの選手で、自ら攻撃のイニシアチブを握り、攻撃のテンポをコントロールしたりアクセントを加えたりするというタイプの選手ではない。あそこは、やはりクリエイティビティで違いを出せるブレッシアーノを使って欲しいところだった。
昨晩は3点目を奪えなかったとはいえ、ケーヒルにマークが集中しても、誰が試合に出ても様々なパターンで点を奪えるようになった攻撃力は、今大会随一の破壊力であるのも事実。
5試合で12点、しかもケーヒルの3点を筆頭に得点者は延べ10人に及ぶバラエティの豊富さは他国の追随を許さない。好調な攻撃陣の最後にして最大のタスクは、先のブリスベンでの韓国戦では奪えなかった得点を大事な決勝戦の大舞台で奪って、出来るだけ多く韓国のゴールネットを揺らすことだ。
その韓国は、選手のコンディション不良やケガの続発で苦しみながらも、しぶとく決勝まで勝ち上がってきた。
日程的アドバンテージを得た準決勝とは違って、決勝では、豪州が韓国の中4日に対して1日短い中3日のリカバリーで大事な試合に臨むという小さくないハンデを背負う。
韓国は欧州でプレーする複数の選手など、個の能力の高さではUAEを上回るだけに、疲れや一瞬の隙が生み出すひとつの小さなミスが大きな傷口を開くことになりかねない。
【次ページ】8万人の声援を背に初戴冠を狙う