映画そのものがまだできていない(笑)
2月7日(土)、8日(日)、11日(水)の三日間に渡り秋葉原のUDXシアターにて開催される東京国際フットボール映画祭2015に、100%FC東京、青赤以外まじりけなしのフットボール映画「ユルネバ~キミは一人じゃない~」が参加する。
もう完成しているのかと、アジアカップ準々決勝日本対UAE戦が迫った某日、脚本も手がけた仕掛け人・植田朝日監督の許を訪ねてみると、彼は主演の黒田耕平、撮影の渡部和彦(株式会社フューチャーフォーク)とともに、いまだ編集作業の真っ最中だった。
「まだできていないっていうね(笑)」
この余裕。そもそも、11月から12月上旬にかけていきなりつくることになり、あっという間に撮影を済ませるスピード感だ。ふつうの映画制作を思い浮かべていたら、面食らってしまう。
「映画の撮り方もわからないし、舞台のこともわからない。文学部卒だけど学校に行ったおぼえもない(笑)。そんなのは関係ないわけじゃん、自己流だから」
全編をほぼiPhone6+で撮影している。若干、iPadも使っているらしいが、いずれにしろキャメラを構える撮影風景とはちがう。一度のカットについて角度を変えての撮り直しをせず、一度に8台ものカメラでいくつもの角度から撮ったこともあり、NGはあっても撮影は迅速に進んだ。実際の映像を観たが、クオリティは高かった。ドキュメンタリー的な迫真性すら漂っていたように思う。
すんなりとことが運んだのは、植田が主宰する劇団コラソンで上演してきた芝居がもとになった作品だからでもある。2011年の「第2回せんがわ劇場演劇コンクール」での初演以来、ヴァージョンアップを重ねてきた。コラソンの舞台を通して呼吸が合っている役者を中心にキャスティングしたから、映画になっても、その間が生きている。
この点について、植田は「オシムが日本代表の監督になったときに、ジェフの選手がいる感じ。やり方のわからない日本で名の通った11人よりも、やりたいサッカーを具現化、理解して動いてくれる選手を使ったほうがいい」と言っている。たしかに連携はよさそうだ。