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日本代表 10年前

完璧にはまった日本対策。UAEにとって狙い通りの“勝利”。そのジャイアントキリングの理由とは

text by 河治良幸 photo by Getty Images

35本のシュートを記録しながら崩しきれなかった日本

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柴崎のゴールは素晴らしかったが、1試合に何本もあるものではない【写真:Getty Images】

 その2つとはポジションチェンジで右サイドに流れた遠藤保仁のクロスに武藤がフリーで合わせた後半8分、そしてもう1つ、右サイドで本田圭佑、酒井高徳とつないだところから、柴崎岳が上げた絶妙なクロスを豊田陽平がドンピシャのヘッドで合わせながら、クロスバーを越えてしまった場面だ。

 しかも、アリ監督はその直後に191cmの長身で空中戦に強いイスマイル・アハメドを投入してセンターバックに配置し、ワイドから飛び込む武藤のマークにそれまでセンターバックだったモハメド・アハメドを付かせた。

 柴崎のゴールはUAEのアリ監督にとっても、GKナセルにとっても決めた選手を褒めるしか無い様な素晴らしいゴールだったが、1試合に何本もあるものではない。

 やはり延長戦も含めて、35本ものシュートを記録した割には、ペナルティエリア内でいい形のフィニッシュができなかった。ペナルティエリア内に侵入してはいたが、その中で相手の守備を崩し切る動きを出せなかったのだ。

 失点につながる最初の10分間はUAEの対策が見事にはまり、そこで生じたチャンスを決められてしまった形だが、その後の展開に関しては日本が圧倒的に支配していた様にも映るが、実際はUAEの術中から抜け出せないまま、あるいは破りかけてもそのチャンスを決められずに試合の終盤まで行ってしまった。

 筆者の見解だが、UAEが日本の対策を意識せず、蛮勇的な戦いを挑んできたとしたら、また前半7分に得点が決まっていなかったとしたら、シュート数が35本と3本という差になることも、ボール支配率が68%と38%になることもない。それらがもっと競った中で、日本が例えば3-1といったスコアで順当に勝利していたはずだ。

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